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植草甚一が晩年に構想していた古書店を再現。

世田谷文学館にて開催された「植草甚一スクラップ・ブック展」の展示会場にて、植草さんが晩年に構想していた幻の古書店「三歩屋」をTOKYO PISTOLとともに再現しました。

蔵書はほとんどが散逸してしまっていたため、著作の中で植草さんがうなったり、これはイケると紹介している文章を探しだし、それらの本を選書して並べました。植草さんが本の中で薦めているものにはすべてスリップをつけて、植草さんがどのように薦めていたかがわかるようにしました。また、おすすめの文章が一覧が見られるよう「新入荷本リスト」として冊子も作りました。

店内には植草さんの構想スケッチにある三角机と、植草さんが古書店には必須と言っていた椅子も置いて、植草さんが作ったらこうなったであろう空間を再現しました。洋書は実際の植草さんの蔵書、レコードも植草さんが気に入ったものを並べ、ゆっくりと本を手にとって読んでいただける空間に仕上げました。

展示内では閲覧のみでしたが、展示の終盤に開催したセタブンマーケットには三歩屋が出張し、実際に植草さん好みの古書が買える機会も作りました。

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展覧会情報

植草甚一スクラップ・ブック

タイトル| 開館20周年記念 植草甚一スクラップ・ブック
展示期間| 2015年4月25日(土)~7月5日(日)
場所| 世田谷文学館2F 展示室内

 外国の映画・文学・音楽に精通し、各分野の新人・新作・新傾向を独自の視点で取り上げた植草甚一(1908~1979)は、専門家や好事家だけでなく一般読者の興味も喚起するような、独特な語り口をもった文筆家でした。

 1948年に東宝を退社したのち本格化させた文筆業の領域は、映画、ミステリーにはじまり、モダン・ジャズ、カウンター・カルチャーなどへと、ジャンルレスに広がっていきました。本人は「雑学」と呼んだ海外の幅広い文化の紹介者となった植草甚一は、1960年代後半から70年代にかけ、団塊の世代の若者から熱烈な支持を集めることとなります。
 また、その文体も初期の評論から変化し、1960年代には植草流とも呼ぶべき特異なスタイルを築きました。終生買い続けた大量の洋書・洋雑誌、そして都市の散歩の中から切り取られた事象が、独特な意識の流れによってつながれていく文章は、植草甚一のもう一つの側面、コラージュの名人としての手際にも一脈相通ずるところがあるといえるでしょう。

 植草甚一の没後、4万冊を超える蔵書は古書店が買い取るなどして整理され、その他の遺品も、展示即売会が催され鉛筆一本に至るまでファンの手に渡りました。
 しかし、2007年に当館で「植草甚一 マイ・フェイヴァリット・シングス」展を開催したことを一つの契機として、ご遺族や関係者から関連する品々をご寄贈いただき、さらに2013年には、かつて出版社の倉庫に保管されていた大量の品を、ご遺族よりご寄贈いただきました。スクラップ・ブックやノート約240点、草稿や原稿約50点、日記約30点を含む当館の植草甚一関連コレクションは、図書・雑誌、写真類も加えると、総数1,200点以上になります。

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